沖縄県の地域ブランド 「首里織」

沖縄県の地域ブランド商標である首里織(しゅりおり)は、那覇伝統織物事業協同組合によって地域団体商標に登録されました。

首里織は、沖縄県が誇る伝統工芸ですが、実は、沖縄県内で織物を扱っている店にいっても、「首里織」という商標の商品を扱っているのを見かけることはほとんどありません。

せっかく地域団体商標に登録したのに、商標を使っていないのはどういうことでしょうか。

目次

沖縄県の地域ブランド首里織とは

琉球王朝の歴史が生んだ伝統工芸

沖縄県は、1429年に尚巴志が全島を統一して以来、独立国として独自の文化を築きました。

日本はもとより、東南アジアや中国とも盛んに交易を結び、これらの地域から多くの文物、技術を導入。中でも最高峰のものが首都であった首里に集められました。

首里織もそうして発達した沖縄県の伝統工芸だったのです。

このため、どこか南国の雰囲気を残したカラフルな色合いや、装い、文様の中に異国情緒を見ることができます。

原料に使われる糸は、絹、木綿、麻、芭蕉など多彩で、琉球藍、福木、テカチ、シブキ、グールなどの植物染料で染められた鮮やかでカラフルな色彩が特徴です。

中でも、花倉織や道屯織は、王家、貴族専用とされ、格調高い優れたデザイン性、繊細な織りで高い評価を受けます。

琉球王朝の歴史が生んだ伝統工芸

首里織と言っても、実は一種類の織物のことではありません。

首里に伝わる織物を分類すると、絣、花繊、道屯織、花倉織、ミンサーに大別され、首里織はこれらの総称です。

「首里織」という商標で商品名として使われないのはこのためです。

それぞれ、「首里絣」、「首里花繊」などとして販売されています。

沖縄県の地域ブランド首里織の歴史

琉球王朝が統一された15世紀から薩摩藩の直轄領となる16世紀にかけて、外国との交易が盛んに行われていました。

このころ、東南アジアや大陸から進んだ織物の技術が流入したと考えられています。

首里織を担っていたのは、王国の中でも比較的に位の高い家庭の女性でした。

王国の婦女子のたしなみといった位置づけだったようで、みな腕によりを競って献上したのです。

王府に集められた献上布は、その中からさらに選別され、上等の物がより位の高い層の衣装として使われることで、製作者に切磋琢磨する意欲を喚起し、技術やデザイン性が高められていったものと思われます。

しかし、太平洋戦争の末期、唯一の地上戦が行われた沖縄県は焦土と化し、織物工場も職人も散逸し、一時的には伝統が消滅する危機的な状況を迎えました。

戦後になって、伝統の技術を継承するために、残った数少ない職人が奮闘。

この功績により昭和49年には首里の織物が沖縄県の無形文化財に指定されました。

さらに、昭和51年には那覇伝統織物事業協同組合が発足。本格的な首里織の振興事業が図られると、後継者も徐々に育ち、現在では現役で活動する職人が60~70人まで回復しているということです。

参考:
那覇伝統織物事業協同組合
琉球伝統工芸館 fuzo
那覇市伝統工芸館
沖縄県工芸振興センター
沖縄地域知的財産戦略本部

首里織の商標登録情報

登録日 平成15年(2003)9月5日
出願日 平成14年(2002)10月1日
先願権発生日 平成14年(2002)10月1日
存続期間満了日 平成35年(2023)9月5日
商標 経済産業大臣指定 ており伝統工芸品\首里織\那覇伝統織物事業協同組合
称呼 テオリデントーコーゲーヒンシュリオリ,シュリオリ,ナハデントーオリモノジギョーキョードークミアイ,デントーオリモノジギョーキョードークミアイ,ナハデントーオリモノジギョー
権利者 那覇伝統織物事業協同組合
区分数
第24分類 織物,メリヤス生地,フェルト及び不織布,オイルクロス,ゴム引防水布,ビニルクロス,ラバ-クロス,レザ-クロス,ろ過布,布製身の回り品,かや,敷布,布団,布団カバ-,布団側,まくらカバ-,毛布,織物製テ-ブルナプキン,ふきん,シャワーカーテン,のぼり及び旗(紙製のものを除く。),織物製トイレットシートカバー,織物製いすカバ-,織物製壁掛け,カ-テン,テ-ブル掛け,どん帳,遺体覆い,経かたびら,黒白幕,紅白幕,ビリヤ-ドクロス,布製ラベル【類似群コード】16A01、16A03、16B01、16C01、16C02、17B01、17C01、19A05、19A06、19B04、19B22、19B56、20C01、20F01、24B02、25B01
登録日 平成18年(2006)12月15日
出願日 平成18年(2006)4月1日
先願権発生日 平成18年(2006)4月1日
存続期間満了日 平成28年(2016)12月15日
商標 首里織
称呼 シュリオリ
権利者 那覇伝統織物事業協同組合
区分数
第24分類 沖縄県の首里・那覇地域に由来する製法により那覇市・南風原町・西原町・浦添市で生産された織物(畳べり地を除く。)【類似群コード】16A01
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