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商標関連時事コラム 


商標「無印良品」で本家が中国の現地企業に敗訴した轍を踏まないために

中国で「無印良品」の商標が争われた問題で、本家のはずの良品計画が無印良品とは関係ない中国の地元企業に敗訴するという結果が波紋を呼んでいます。

商標を含む産業財産権についてのトラブルには事欠かない中国ですが、勝手に商標を使われるならまだしも、訴え出ても結局負けてしまうとはどういうことなのでしょうか。

このような問題は今後も起こるのか、あるいは、このような問題に巻き込まれないためにはどうしたらよいのでしょうか。

商標を模倣した側が侵害を訴えて勝つという不思議

この問題は、テレビの情報番組などでも取り上げられたのでご存知の方も多いと思います。

念のため、経緯をざっとおさらいしておきましょう。

問題の発端は2001年にさかのぼります。

日本発祥で、中国はじめ、欧州やアメリカにも進出している世界的な生活用品ブランドとして知られる「無印良品」の商標を、中国の現地企業が勝手に商品登録してしまったとして、「無印良品」ブランドを展開する良品計画が中国の裁判所に商標登録の取り消しを訴えたのが2001年のことです。

裁判は最高裁まで争われたものの、この当時、無印良品はまだ中国に進出していなかった時期だったこともあり、2012年、「日本側の関連商品は中国市場での知名度を確認できない」として、良品計画の上告を退ける決定を下し、同社側の敗訴が決定しました。

この間、無印良品は中国への本格的な進出を果たし、すでに人気のブランドに成長していたものの、やむなく、中国の現地企業が商標登録してしまった織物など一部の商品ついて、漢字表記の「無印良品」の商標を外して販売せざるをえなかったのです。

ところが2017年になって、中国国内でのタオルや寝具など織物について「無印良品」の商標を持つ「北京棉田紡織品有限公司」が、良品計画を商標侵害で訴えたのです。

中国国内での商標権を持つとはいえ、模倣しているのは明らかに中国企業側です。

ところが、北京知的財産権裁判所は同年末、原告の訴えを認め、良品計画側に損害賠償の支払いと謝罪文の掲載などを命じる判決を下しました。

中国国内で織物などの商品について「無印良品」の商標権を持っている北京棉田が展開する同名の店舗は、看板やサインなど店内装飾から値札のデザインまで無印良品そっくり。

その反面、品質についての評判は悪く、このままでは本家のブランド価値まで棄損されかねないとして、良品計画は徹底抗戦の構えですが、いまのところ先行きは不透明です。

法的に正しいから勝てるわけではない

デザインや意匠を模倣された挙句、勝手に商標登録され、さらに、裁判になっても結局勝てないとすればいったいどうすればいいのでしょう。

個人的な感想から言うと、外国において知的財産権について法的に争って正当な解決へ導くことは、まだまだ難しいことなのだと改めて実感した次第です。

皆さんは、海外へ行っても、日本同様、産業財産権は守られるものだろうと思っているかもしれません。

しかし、実際は、海外市場への参入が容易になった現在でも、トラブルは堪えることがありません。

中国だけでなく、ヨーロッパでもアメリカでも、日本人からするとちょっと理解しにくいようなことが度々起こります。

日本人、特に訴訟を経験したことのない方は、「法的に正しければ勝てる。正義は自分たちにあるのだから問題ない」と誤解している方が多いように思います。

が、現実は違う場合もあります。

日本国内でさえ、訴訟に勝つにためには非常に大きなお金がかかります。

訴訟とは、法的に正しいから勝つわけではなく、勝つべく準備をしている側が勝つのです。

日本国内ですらそうなのですから、外国で訴訟をするのは、かなりハードルの高いことだとわかると思います。

法律的に正しくても、それだけでは勝てません。

相手も負けない準備をしてきているので、その主張をいかにひっくり返し、法廷戦術をはねのけて、勝利までたどり着くか、そのための準備がどこまでできるか、また、どこまでお金をかけられるかが勝負です。

外国で自社の商標を守るための考え方

勝手に商標を使われた挙句、結局、裁判でも勝てないとしたら、外国で商標登録などをしても意味がないのかというと、そんなことはありません。

商標登録の優れているところは、登録することで、ある程度、争いを予防できる(戦わずして勝てる)ことだと思います。

商標登録しさえすれば絶対に守れるとは言えません。

が、他社の商標を勝手に使えば争いになることは、いまどきどこの国の人だって知っています。

今回は中国の企業が勝ちましたが、毎回そうなるわけでもないのです。

もし負ければ莫大な賠償を請求されるのを覚悟で、他人の商標を好んで使うような会社はさすがに少数派です。

訴訟になった時の費用が莫大だからこそ、保険のような考えで商標登録することは、費用対効果から考えても良策といえます。

もう一つ重要だと思うのは、「優先順位」をつけて、徐々に商標登録することです。

多くの中小企業の経営者は、「海外で商品が売れるようになってから、国際出願(マドプロ)でまとめて商標登録すればいい」くらいの感じで、ものすごく大雑把に考えています。

しかし、世界の複数の国や地域で一気に商品が売れるようになる、ということはまずありません。

大体の場合、少しずつ売れる国が増えていって、長い時間をかけてビジネスがグローバルに広がっていく感じだと思います。

その間、どんなに早くても数年、普通は、10年や20年はかかるはずです。

その間、「この商品は伸びそうだ」と目を付けた現地企業が、先駆けて商標登録してしまうかもしれないわけです。

そうして商標を先に登録されてしまったら、それぞれの地域で訴訟のために膨大な時間と費用がかかることになります。

したがって、「後でまとめて」ではなく、重要な国から順に少しずつ戦略的に商標登録していくことが、自社の商標を守る上で重要な考え方と言えます。

参考:
無印良品、中国でパクリ会社に提訴され一審敗訴 「本物が偽物に負けた」とネット騒然

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2018年12月11日 作成

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