岡山県の地域ブランド 「岡山白桃」

岡山県の地域ブランド商標である岡山白桃(おかやまはくとう)は、平成19年(2007)3月9日、全国農業協同組合連合会によって地域団体商標に登録されました。

岡山県と言えば桃王国です。

国内で栽培される品種のほとんどが岡山県の発祥であり、あまりにも有名なおとぎ話「桃太郎」発祥の地として知られます。

桃は岡山県の県の花でもあります。

岡山県はさまに、桃づくし。

いったいなぜ岡山県は桃王国になったのでしょうか。

目次

岡山県の岡山白桃とは

日本の桃の原点

桃太郎のお話が成立したのは室町時代と考えられています。

岡山県では、そんな昔から桃の栽培が盛んだったのだろうと思ったら、そうでもなく、桃の栽培が本格的に始まったのは明治以降のことです。

つまり、岡山県に残る桃伝説と、岡山県で桃の栽培が盛んなのは、まったく別の理由ということです。

岡山県の気候や土壌が、桃の栽培に適していることは確かなので、まったく云われがないわけではないようですが。

ともあれ、岡山県で桃の栽培が本格化するのは、明治8年、中国から「上海水蜜」、「天津水蜜」の2品種が輸入されたことに端を発します。

日本でもすでに桃が栽培されていましたが、在来種の桃は中国のものと比べて小さくて硬く果汁も少ないものでした。

大玉で果汁の多い中国の桃の可能性に魅入られた岡山県の生産者の間では、さかんに品種改良が行われました。

度重なる研究の末、明治34年ついに国内品種の最高峰、「白桃」が誕生したのです。

その後、岡山県で生まれた白桃をベースに、県内はもちろん、日本全国で品種改良がおこなわれました。

現在、日本で生産される桃のすべての源は岡山白桃なのです。

白桃が白い理由

岡山白桃の特徴はなんといっても、抜けるような白さです。

他の地域で栽培される白桃も白っぽいのですが、岡山白桃ほど純粋な白ではありません。

岡山県の白桃が群を抜いて白い秘密は、栽培方法にあります。

岡山県の生産者は、袋掛栽培を行っており、桃の実がなり始めのゴルフボールぐらいに成長したところで、一つ一つの実に手作業で紙袋をかけます。

袋をかけるといっても、単純なものではありません。

光を完全に遮断してしまうと、糖度が落ちるなどの弊害があります。

適度な光の透過率を調整するため、品種や栽培時期などによって様々な紙の色や材質の種類を選んでいます。

どのような条件でどの袋を選ぶかが桃の品質を決めます。

長年培われた伝統技術が白桃栽培を可能にしているのです。

直射日光を遮ることで、表皮が赤く色づくのを抑え純粋な白色になります。

実もなめらかでやわらかい口あたりになります。

また、風や雨の影響をやわらげ、虫害を抑制し、農薬を散布しても直接桃に当たらないなどの利点もあります。

他の地域でも、袋掛栽培を行えば白くなります。

実際、山梨や山形の一部では、袋掛栽培を実践している生産者がいます。

しかし、当然ながら手間がかかります。

日光に当たらないので外皮が弱くなり、ただでさえ傷つきやすい桃をさらに繊細に扱わなければなりません。

収穫から箱詰め、出荷作業まですべて手作業で、傷ついた桃は製品にならないので収量も落ちます。

それでも、岡山県では基本的にほとんど全ての農家が袋掛栽培を行っており、全国の白桃の7割が岡山県で生産されています。

その結果、現在岡山県は桃の生産量で1位の座から落ち、すでに全国5位になっています。

量よりも質をとることでブランドを維持する。

岡山県の生産農家のこだわりが背景にあります。

岡山県の岡山白桃の品種

一口に白桃と言っても、多様な品種があります。

主なものだけ並べても次の通りです。

1.白桃

もっともスタンダードな白桃です。

2.加納岩白桃

果汁が豊富で甘みが強い品種です。

3.白鳳

唯一岡山県内以外で開発された品種で、神奈川県で1933年(昭和8年)に誕生。
肉質がやわらかくジューシーで、清水白桃と双璧をなす人気品種
です。

4.清水白桃

岡山県岡山市一宮で誕生した品種。
香り、白さ、甘み、やわらかさのどれをとっても白桃品種の最高峰とされます。

5.黄金桃

大玉で糖度が高く、果汁が多い晩生種
しっかりとした食感が持ち味です。

6.はなよめ

やや小ぶりながら、強い甘さをもった品種です。

7.おかやま夢白桃

岡山県で誕生した最新品種です。
岡山白桃の次世代を担う品種として期待されています。

岡山県の岡山白桃の歴史

岡山県の岡山白桃の発祥は、前述のとおり、中国産の「上海水蜜」と「天津水蜜」を輸入して栽培を始めたのが最初です。

天津水蜜は栽培が途絶えてしまいましたが、上海水蜜は岡山県に定着し、生産者の品種改良の努力によって優良品種として栽培されています。

特に、白桃の誕生に欠かせないのが2人の生産者の存在です。

一人目は、小山益太。

益太は、岡山県の南東部、熊山町の出身。

先祖代々受け継がれた果樹園で、桃・ぶどう・梨など数多くの果物を栽培していました。

研究熱心な人で、ただ栽培するだけではなく品種改良にも着手し、明治28年、上海水蜜を改良した国産の新品種・金桃の創生に成功します。

金桃の生産を本格化させたころ、岡山県の桃の礎を築くことになるもう一人の功労者、大久保重五郎が益太の元に弟子入りします。

このとき、重五郎は小学校を卒業したばかりの少年でした。

それでも、益太の元で熱心に桃作りを学び、金桃の完成からわずか6年後の明治34年、師匠の桃を超える白桃を完成させるのです。

現在でも重五郎の開発した白桃がもっともスタンダードな白桃として栽培されていることから、いかに完成度が高かったかわかります。

白桃はたちまち人気商品となり、岡山各地はもとより、全国の果樹栽培地に広がり、やがて、すべての桃が白桃をベースに作られていくことになったのです。

岡山県は、昭和30年代には桃の生産量で全国1位を獲得。

その後、桃全体の生産では他地域に抜かれましたが、白桃に限ると現在でも日本一を維持しています。

参考:
JA全能おかやま園芸部
岡山県
岡山市
おかやまフルーツ情報サイト

岡山白桃の商標登録情報

登録日 平成19年(2007)3月9日
出願日 平成18年(2006)5月24日
先願権発生日 平成18年(2006)5月24日
存続期間満了日 平成29年(2017)3月9日
商標 岡山白桃
称呼 オカヤマハクトー,オカヤマモモ
権利者 全国農業協同組合連合会
区分数
第31分類 岡山県産の白桃【類似群コード】32E01
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