高知県の地域ブランド商標「土佐打刃物」

土佐打刃物は、高知県土佐刃物連合協同組合(高知県香美市土佐山田町宝町2丁目2-27)が、平成19年(2007)1月26日、地域ブランドとして商標登録しました。

高知県香美市は古くから刃物の名産地として知られていますが、その中でも土佐打刃物はトップブランドと言っていいでしょう。

伝統工芸産業は安い外国製品に押されて苦戦していることが多く、土佐打刃物にとっても同様の事態が起こっていました。

しかし近年は関係者による努力によって、そんな苦境を脱しつつあります。

土佐打刃物はいかにして突飛ブランドの地位を取り戻すことができたのでしょうか。

目次

高知県の土佐打刃物とは

高知県土佐刃物連合協同組合によって商標登録された土佐打刃物は、土佐で打たれた刃物全てに与えられる称号ではありません。

いくつかの条件を満たしたもののみが土佐打刃物と定義されます。

まずは全ての刃物に共通する条件です。

鉄と炭素鋼、もしくは鉄か炭素鋼のどちらかを炉で熱して鎚打ちによって打ち延ばすか打広げを行うことで成形された刃物であること。

次に刃物の種類別の条件です。

斧、鳶(とび)は、ひつ抜き(火入れと槌打ちを繰り返すことで柄を入れるための穴をあける作業)によって行われること。

鋸は、銅と同じ材料によって首・中子造りを行うこと。

釜、包丁、鉈、柄鎌は、焼き入れの際に泥塗によって急冷すること。

片刃鉈は、刀身に添って彫られた樋があること。

最後に使用する素材です。

鉄と炭素鋼、もしくは鉄のみ、炭素鋼のみとすること、柄は木材であること。

このような細かな条件をすべて満たした刃物のみが土佐打刃物と定義されるのです。

高知県の土佐打刃物の歴史

土佐打刃物は高知県が土佐と呼ばれていた時代から始まっており、400年以上の歴史があります。

もともと土佐は全国的に見ても質の良い木材に恵まれた地域で、森林伐採が盛んに行われてきた歴史があり、その伐採に必要な刃物が作られ始めたのが土佐打刃物の始まりだったのです。

さらに鎌倉後期から戦国時代にかけて、戦乱の世が続いたことで、刀剣の需要がたかまり、同時期、大和から移り住んだ名鍛冶・五郎左衛門が創設した五郎左衛門吉光派が勢力を拡大し、土佐の鍛冶屋が発達しました。

1590年の長宗我部地検帳によると、当時すでに399件の鍛冶屋がいたとされています。

江戸時代初期に入ると、土佐打刃物は全盛期を迎えます。

藩による森林伐採や田畑の開拓により、刃物の需要がさらに高まったのです。

高知県の土佐打刃物のブランディングについての考察

高知県の土佐打刃物がトップブランドを獲得している要因を探るキーワードが「土佐の自由鍛造」と呼ばれる独特の技術にあります。

簡単に言うと、「どんなものでも作れる」ということです。

土佐の打刃物には、これという中心の商品はありません。すべてのレベルが高いのに加えて、形、大きさ、材質など、どんな注文にも対応可能だからです。

それも、寸法と形状を示した簡単な注文書があれば、1本から製造可能という徹底した少品種少量販売を行っています。

料理人や大工など、刃物を扱うプロは道具に強いこだわりがあり、自分が使いやすい形状や重さ、大きさを厳密に求める人が少なくありません。

そうしたプロの需要に応えるには大量生産の市販品ではまかなえません。

かといって特注するとなると極めて高額になってしまいます。

その点、1本1本の商品を要望に合わせて受注生産できる技術と、生産体制を兼ね備えた産業構造を構築したことが、土佐打刃物の名声を裏付ける要因になっているわけです。

参考:
高知県土佐刃物連合協同組合
土佐打刃物流通センター
伝統工芸青山スクエア
高知県

高知県の土佐打刃物の商標登録情報

登録日 平成19年(2007)1月26日
出願日 平成18年(2006)5月8日
先願権発生日 平成18年(2006)5月8日
存続期間満了日 平成39年(2027)1月26日
商標 土佐打刃物
称呼 トサウチハモノ,トサハモノ
権利者 高知県土佐刃物連合協同組合
区分数
第8類 高知県産の包丁,高知県産の鋸,高知県産の鍬,高知県産の鎌,高知県産の鉈,高知県産の鳶,高知県産のおの,高知県産の柄鎌
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