神奈川県の地域ブランド 「湯河原温泉」

神奈川県の地域ブランド商標である湯河原温泉(ゆがわらおんせん)は、湯河原温泉旅館協同組合によって地域団体商標に登録されました。

湯河原は日本最古の和歌集、万葉集にも登場するほど歴史のある温泉です。

そのブランド力はいまも健在です。

目次

神奈川県の地域ブランド商標、湯河原温泉とは

湯河原温泉の概要

湯河原温泉は、神奈川県の西南部、湯河原町に広がる温泉郷です。

効能は、打撲、外傷、筋肉痛、リューマチ、関節痛、神経痛、皮膚病、消化器病、婦人病など。

傷、打ち身などに効くとされることもあり、その昔は傷病兵の療養地として、さらにもっと昔は武士が刀傷を癒す保養地として使われていました。

源泉の温度は約60度、単純アルカリ泉で、無色透明。肌への刺激が少なく、奈良時代の昔から「肌に優しいやわら湯」と呼ばれていたということです。

万葉集に残る古代の湯

7世紀後半から8世紀後半にかけて詠まれた歌を集めた日本最古の和歌集『万葉集』(成立は天平宝字3年=西暦759年)にも湯河原温泉は登場します。

第14巻にある次の和歌がそれです。

あしがりの土肥の河内に出づる湯の、世にもたよらに子ろが言はなくに(詠み人知らず)

現代語訳:足柄(あしがら)の土肥(とい)に湧く温泉のように、(二人の愛は)絶えるなんてことはない、とあの子は言うのだけれども

足柄の土肥というのが湯河原のことで、このように歌われているということは、少なくとも7世紀ごろにはもう湯量の豊富な温泉であったことが知られていたということです。

文豪に愛された温泉

湯河原は明治から昭和にかけて、日本を代表する文豪に愛された別荘地でもあります。

明治中期には、谷崎潤一郎、夏目漱石、島崎藤村、芥川龍之介、国木田独歩や島崎藤村、などそうそうたる面々が湯河原を定宿にしていました。

中でも国木田独歩は、湯河原を舞台にした3部作、『湯河原より』、『湯河原ゆき』、『恋を恋する人』を著しています。

夏目漱石の最後の作品となった『明暗』も湯河原の登龍門中に執筆したもので、湯河原が舞台です。

芥川龍之介の『トロッコ』、『百合』、『一塊の土』などの作品には、湯河原出身の人物が登場しますが、湯河原に実在した人がモデルになっています。

神奈川県の地域ブランド商標、湯河原温泉とは

湯河原温泉は、前述のとおり、日本最古の和歌集に描かれているほどで、非常に古い温泉のため来歴ははっきりしません。

地元に残る通説には、説得力のある説からおとぎ話に出てきそうな荒唐無稽な説まで諸説あります。

1.二見加賀之助説

もっとも有力な説が、二見加賀之助説。二見加賀之助は、加賀の国(現在の金沢)の人で、名族出身の有力者でしたが、中大兄皇子らが行った大化の改新によって失脚。

諸国を放浪したのち、湯河原に落ち着き、この地を開拓した際に温泉を発見したというものです。

2.弘法大師説

弘法大師が嵯峨天皇の命で湯河原を訪れた際、千歳川の水で足を洗っていたら、その水が温泉に変わったのという説です。

弘法大師とはもちろん真言宗の開祖・空海のこと。

あまりにもビックネーム過ぎるところがどうも怪しい説です。

3.薬師如来説

奈良時代の高僧として名高い行基(ぎょうき)が全国行脚の中で、箱根に立ち寄ったおり、薬師如来に導かれて源泉を発見したという説です。

ここらへんからかなり伝説的な話になってきます。

4.役行者説

役行者(えんのぎょうじゃ)とは奈良時代の修行僧で、またの名を役小角(えんのおづの)といいます。実在の人物ですが、類まれな法力を駆使してあまたの奇跡を起こした伝説の人物として語り継がれています。

その奇跡伝説の一つがまさに湯河原の発見で、怪我を負った狸の傷を治すために役行者が神通力で温泉を沸かしたという説です。あえて、信ぴょう性を問うのはやめましょう。

5.狸の恩返し説

傷ついた狸を介抱してくれた湯河原の人々に恩返しするために、狸が温泉の場所を教えたという説です。この説にいたってはおとぎ話そのものですが、狸を祀った神社が実際にあるということです。

参考:
湯河原温泉旅館協同組合
湯河原温泉観光協会
湯河原町役場

湯河原温泉の商標登録情報

登録日 平成18年(2006)12月22日
出願日 平成18年(2006)5月9日
先願権発生日 平成18年(2006)5月9日
存続期間満了日 平成28年(2016)12月22日
商標 湯河原温泉
称呼 ユガワラオンセン
権利者 湯河原温泉旅館協同組合
区分数
第43分類 湯河原温泉地区における温泉浴場を有する宿泊施設の提供。【類似群コード】42A01
第44分類 湯河原温泉地区における温泉浴場施設の提供。【類似群コード】42D01
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