愛知県の地域ブランド 「蒲郡みかん(がまごおりみかん)」

愛知県の蒲郡(がまごおり)みかんは、愛知県蒲生郡で生産されるみかんの登録商標です。

愛知県の蒲郡みかんは特にハウス栽培において、全国有数の産地として知られています。

品種としては、全国的に栽培されている宮川早生や青島みかんですが、なぜ蒲郡では地域ブランドを確立できたのでしょうか。

目次

愛知県の蒲郡みかんとは

愛知県の蒲郡みかんは、ほどよい酸味と強い甘みに加えて、うち袋が柔らかく、果肉の風味を損なわないのが特徴のみかんです。

とはいえ、愛知県蒲郡地域で栽培されているみかんは、全国どこでも栽培している温州みかん系の品種が主体です。

いったいなぜ、蒲郡みかんはブランドを確立できたのでしょうか。

その秘訣は3つに大別できるといいます。

1.環境と気候

愛知県蒲郡の地形は、三河湾に面した南向きの扇状地、太平洋の暖かな潮風が1年中そそがれています。

土壌は、果樹栽培に適した水はけのよい砂地でもあります。

さらに、冬の日照時間が長いことがあげられます。

冬期は、ミカンの木が最も育つ時期。

その時期に太陽の光をたくわえ、春から秋にかけておいしいみかんを実らせるわけです。

2.栽培の工夫

昭和のはじめ、栽培が本格化した当初から、地域を挙げて栽培法、肥料、管理方法の改善を継続してきました。

現在でも、根の下にシートを敷いて必要以上の水分の供給を制限する栽培法、いわゆるマルチ栽培を導入。

まだ暖かい時期に土を冷やすことで、越冬時期を早め、早く花を咲かせる特殊な栽培法、「地温冷却栽培法」の導入など、新たな栽培法の導入、管理法の改善を続けています。

3.周年供給体制の確立

愛知県の蒲郡では、地域で協力し、年間を通してみかんを供給する周年供給体制を確立しています。

年間を通してずっと売り物があることが、実は、もっともブランド化に貢献しているかもしれません。

周年供給体制を確立するために、地域が一体になった栽培、管理体制の確立があります。

一口に蒲郡みかんといっても、ハウスみかんと露地みかんがあります。

4月上旬から9月下旬までは、ハウスみかんの時期です。

品種を宮川早生(みやがわわせ)に統一し、地温冷却栽培法を導入するなどして、長期に渡ってみかんを供給できる体制を確立。

10月以降になると、露地みかんの出荷が始まります。

まず、早生種(わせしゅ=早く実がなる品種)の「箱入娘」の出荷から始まります。

年をまたいで翌年早春からは、中生種(なかてしゅ=シーズン中盤に実がなる品種)の「はるみ」、「青島みかん」

シーズンの終盤に実が成る晩生種(おくてしゅ)の「樹熟デコポン」(樹上で完熟させてから出荷する)

そして「ハウスみかん」の出荷が始まるというわけです。

愛知県の蒲郡みかんの歴史

蒲郡みかんができるまで

蒲郡でみかんの栽培がおこなわれたのは、幕末に愛知県の幡豆郡から唐みかんの苗を移植したのが始まりといわれています。

唐みかんは蒲郡に根付き、明治時代の半ば頃には「神ノ郷みかん」「西郡みかん」の商標で販売されるようになりました。

さらに、昭和に入ると栽培面積も拡大。

地元では、ブランドを「三州みかん」に統一、東京や大阪などの大消費地にも出荷されるようになりました。

三州みかんのブランド化に踏み切ったのは、昭和初期、当時からみかん栽培が盛んだった静岡県に視察団を派遣したのがきっかけです。

視察の結果、蒲郡のみかん栽培には大幅な改善が必要と痛感した地元の生産者は、昭和3年かんきつ研究会を設立。

継続的な指導会、品評会を開催し、技術の向上と品質の改善を図り、徐々に品質が向上していきました。

昭和5年には三州蜜柑出荷組合連合会を結成。さらなる品質の向上と販路の拡大を図るなど、地域一体となって「三州みかん」のブランド化に取り組んだのです。

日本一のハウスみかん産地になるまで

戦中戦後を挟んで、蒲郡地域ではみかん栽培のさらなる発展に取り組み、共同選果場の運営や共同販売体制の整備を続けていきました。

最終的に、現在の地域ブランド蒲郡みかんが確立されたのは昭和32年ころです。

昭和40年代から50年代にかけてハウス栽培を導入する生産者が飛躍的に増えました。

日本一のハウスみかん産地になったきっかけは、昭和47年、みかんが全国的に生産過剰になり、大暴落を招いたことです。

自然栽培にまかせると、出荷が一時期に集中する。

年間を通して安定した出荷を可能とするハウス栽培に活路を見出したのです。

昭和52年になると、前年の大豊作もあり、実質的にハウス栽培として日本一のみかん産地になりました。

その後もハウス栽培は順調に拡大、平成6年には、鉄骨製のビニールハウスとしては、日本一の温室みかん団地が完成しました。

こうした取り組みが評価され、平成22年、第39回日本農業賞において、蒲郡柑橘組合が集団組織の部で大賞を受賞。

名実ともに日本一のハウスみかん産地として認定されたのです。

参考サイトURL:
JA蒲郡市
蒲郡市観光協会
蒲郡市博物館
蒲郡なび
DoChubu

蒲郡みかんの商標登録情報

登録日 平成20年(2008)6月13日
出願日 平成19年(2007)7月9日
先願権発生日 平成19年(2007)7月9日
存続期間満了日 平成30年(2018)6月13日
商標 蒲郡\みかん
称呼 ガマゴーリミカン
権利者 蒲郡市農業協同組合
区分数
第31分類 蒲郡産のみかん【類似群コード】32E01
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