特許庁が商標出願のスピードを大幅に短縮する早期審査・審理の対象を拡大

特許庁は2017年2月6日、商標登録出願のスピードを大幅に短縮できる制度「早期審査・審理」の対象を拡大すると発表しました。

申請受付は同日から解禁しています。

加速する現在のビジネス環境に対応するための制度改革です。

新たに、制度の対象に加わるケースは2通りです。

参考:
特許庁「商標登録出願の早期審査・早期審理の対象となる案件を拡大します」

目次

そもそも早期審査とは何か

商標登録は、出願から登録完了まで、早くて4カ月、長いと1年以上かかることがあり、平均すると7、8カ月ほどになります。

特許庁では常に審査のスピードアップを図っていますが、問題は特許庁の努力を上回るスピードで商標出願が増えていることです。

いまや年間の出願数は10万件を超えます。

特許庁の審査官の人員には限りがあり、1件にかかる審査スピードをどれだけ速めてもおのずと限界があります。

つまり、出願から登録まで7、8カ月もかかるのは、審査待ちの期間が長いからなのです。

このまま手をこまねいていたら、現代のようなスピーディな経済環境に対応できません。

そこで、審査の順番を繰り上げることによって、登録までの期間を一気に短縮する制度として考案されたのが、「早期審査・審理」です。

この制度を利用することで、平均すると7、8カ月かかる登録出願期間が最短で2カ月、遅くとも4カ月に短縮されます。

詳しくは、
[POST_LINK id=”101″] で解説していますので参考にしてください。

とはいえ、みんなが早期審査に殺到したら、やはり順番待ちができてしまいますので、特別に急ぐ必要があると特許庁が認めた出願のみが適用されます。

今回は、その条件を緩和し、より制度を利用しやすくしたものです。

新たに制度の適用対象に加わった出願方法

今回、新たに制度の適用対象に加わったのは、以下の2つです。

1)マドリッド協定議定書に基づく国際出願予定の基礎出願

マドリッド議定書に基づく国際出願とは、日本の特許庁を通して国際出願を行う方法です。

日本の特許庁に1度出願するだけで、マドリッド協定議定書に批准しているすべての国に同時出願できるという制度です。

詳しくは、
[POST_LINK id=”452″] で詳しく解説しているので参考にしてください。

すでに出願済の基礎出願については従来から制度の対象でしたが、今回は、出願予定の基礎出願まで、対象に加えたものです。

2)例示掲載商品・役務のみを指定している出願

商標登録出願を行う際、商標そのものだけではなく、商標を使用する商品・役務の範囲を指定します。

これを指定区分と言います。

指定する範囲は、出願人が自由に決めることができますが、1区分追加するごとに手数料が必要になりますので、実際に使用している区分、あるいは、将来、使用を予定している区分を指定範囲とするのが一般的です。

この際、予定はあるけど、まだ具体的に決まっていない商品は、実際の商品がないので、区分指定する際、「商標法施行規則別表」、「類似商品・役務審査基準」、「商品・サービス国際分類表(ニース分類)」で例として掲載している商品を指定することになります。

問題とされていたのは、この例示掲載商品を含む出願を、早期審査・審理の対象に加えるかどうかということでした。

この制度は、商標登録を緊急に行う事情がある案件に適用されます。したがって、指定した全ての商品・役務について緊急性が求められる案件に限られていたのです。

制度の適用を受けるためには、将来、使用を予定しているけれど、緊急性のない商品は指定から外す必要があります。

すると、いずれその商品を発売することになったときに、改めて出願しなおさなければならず、二度手間になってしまうかもしれません。

そこで今回は、区分指定した商品のうち、例示掲載商品のみを指定した場合でも、早期審査・審理の対象に加えられることになったわけです。

参考:
特許庁「商標早期審査・早期審理の概要」

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