商標の専門家から見た成功するネーミング

商標登録を専門とするようになって、会社名にしても商品名にしても、ネーミングはビジネスの将来を左右する非常に重要なポイントだとつくづく実感しています。

商品名一つで売れ行きを左右してしまうこともあるため、安易につけた商標が変に広まってしまい、後々後悔する経営者の姿も度々見てきました。

私の仕事は、お客様が必死に考え抜いた商標を間違いなく、登録に導くことです。

しかし、携わった以上、登録するだけでなくビジネスでも、絶対に成功してほしいと思っています。

そこで、数多くの商標と接してきた商標専門の弁理士から見た、成功するネーミングのコツについてお話しします。

目次

成功するネーミングにはコツがある

商標に携わるようになって、成功するネーミングとそうではないネーミングがあることが何となく見えてきました。

ネーミングによって商標の認知の広がりに差がでたり、商品が売れたり売れなかったりする傾向が確かにあると考えています。

そしてもう一つ大事なことは、成功するネーミングはたまたまたつけたものではなく、成功するように考えている、ということです。

そんな経験の中から、私なりに整理したネーミングのコツは以下の4つがあります。

  1. 経営者視点のネーミング
  2. お客様視点のネーミング
  3. キーボード・スマホで打ち込みやすい
  4. 一般名称から離れている

それぞれについて見ていきましょう。

1.経営者視点のネーミング

経営者視点のネーミングとするコツは、現時点の事業はもちろん、将来の事業の先行きを考えて、ネーミングと会社のやっていることの間でミスマッチがおきないようにすることだと考えています。

なぜ自分たちはこの事業をするに至ったのかを掘り下げて議論し、そこで出た思いから名称を考えたときに、誰からも愛され、人々に語られるような素晴らしいネーミング(商標)になりやすいと考えています。

なぜなら、思いがあると名称からストーリーを語ることができ、すると、ストーリーに関連付けて名称を覚えてもやすくなるからです。

2.お客様視点のネーミング

経営者視点のネーミングと相反するようですが、そうではありません。

お客様視点のネーミングであるということは、簡単に言うと覚えてもらいやすい名称であるということです。

覚えてもらいやすい名称ということは、人に伝えやすく、口コミで広がりやすいことを表しています。

具体的に、覚えてもらいやすい名称とはどのようなものでしょうか。

人によって様々な意見があるので、ここでは一つだけ、ネーミングで売上を15倍に延ばしたレナウンの通勤快足を例にお話しましょう。

発売当初の商品名は「フレッシュライフ]でした。

すぐれた抗菌作用と消臭作用によって、快適な履き心地が持続する商品の特徴を表したものでしたが、何となくパッとしません。

ところが発売から6年後、通勤快足に商標を変えたとたん、爆発的に売れたのです。

通勤快足はもちろん、電車の通勤快速にかけたネーミングです。

商品のターゲットである革靴を履いて仕事をする人に直結するイメージであり、快適な履き心地という商品の特徴にも結びつきやすい。

なおかつ、ちょっと洒落が効いていて、人の耳に残りやすいと言えます。

3.キーボード、スマホでも打ちやすい名称

キーボードやスマホで打ち込みやすい商標にするということは、近年になって特に重要な要素になっています。

いまの時代、商品にしても、お店にしても、調べもせず直接買いにくる、ということはまずありません。

何でもまずネットで調べてからです。

特にスマホとの親和性は重要です。

ご存知のように、スマホはキーボードに比べて文字が打ちにくいので、長文を避けるのが好ましいです。

また同じ音の連続は、特にスマホでは打ちにくいので注意が必要です。

4.一般名称から離れている

一般名称とか普通名称というのは、商標の用語で、ある商品・サービスなどを表すフレーズとして広く普及していることを言います。

一般名称は商標として登録することはできません。

これはつまり、自分だけのオリジナルの商標とは認められず、差別化できないということでもあります。

したがって、仮に商標登録できたとしても、限りなく一般名称に近い商標は、固有のものだと認識しにくいので、商標から特定の商品やお店の名前を認識しにくいことになります。

将来のブランディングを考える上でも、一般的な名称に近すぎない、オリジナル性の高いネーミング(商標)にするべきです。

もっとも大事なのは思い

以上、商標登録の専門家から見た成功するネーミングのコツを見てきました。

おさらいすると、

  1. 経営者視点のネーミング
  2. お客様視点のネーミング
  3. キーボード・スマホで打ち込みやすい
  4. 一般名称から離れている

の4つがあります。

私が思うに、この中でもっとも大事なのは1です。

商品への思いが強く篭った商標は人の口に乗って語られやすいということがあります。

さらに、自分たちの思いが強く篭った商標の場合、そうではない商標と比較して、仕事への情熱を掻き立てやすくなるというメリットもあります。

是非、上記4つのコツに沿ったネーミングを考えてみて下さい。

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