ネーミングだけで売上をアップする方法

ネーミングはとても大切です。

そんなことは誰でもわかっていると思います。

けれど、ネーミングだけで売上をアップすることができる方法があると言えばどうでしょう。

今回は弁理士から見たネーミングの成功法についてお話しします。

目次

弁理士だからこそ見えるネーミング成功のコツがある

ネーミングだけで売上をアップさせる方法ということですが、もちろん、私は弁理士であり、ネーミングの専門家ではありません。

ただ、商標登録のお手伝いをする中で、様々な商標に接する機会に恵まれました。

商標登録のお手伝いをした商品がその後ヒットしたり、あるいは、会社の業績が上がったといった報告をいただいたときにはとても嬉しい気持ちになります。

しかし、残念ながらそうしたケースばかりではありません。

成功したケース、うまくいかなかったケースをたくさん見てきた中で、なんとなく、成功するネーミングとそうでないネーミングの法則性のようなものが見えてきたのです。

そこで、商標を専門とする弁理士の立場で見た成功するネーミングのコツについてお話しします。参考にしていただければ幸いです。

短期勝負の商品はインパクト重視

商品のネーミングで重要なのはなんといってもインパクトです。

声に出したときの音の響き、パッケージで見たときの字面が目や耳を引きやすく、また、商品の特徴、アピールポイントが一発で分かるものにするのがポイントです。

インパクトのある商品名をつけるのが上手な会社といえば、私は小林製薬を筆頭に上げたいと思います。

薬品の名称といえば昔から、使われている成分名がそのまま商品名になるのが普通でした。

薬を扱うのは医者や薬剤師などの専門家であり、一般の消費者が購入するときは薬局などで薬剤師さんに相談した上で購入するスタイルだったので、わかりやすい商品名とする理由はなかったのでしょう。

ドラッグストアなどで一般の消費者が自分で商品を選んで買うスタイルが一般的になっても商品名は劇的に変わりませんでした。

そこに風穴を開けたのが小林製薬です。

同社の製品名を列挙してみましょう。

  • 熱さまシート(発熱を冷ます商品)
  • ボーコレン(排尿痛をやわらげる商品)
  • どぬ~る(喉の殺菌消毒薬)
  • ガスピタン(腸の膨張を抑える商品)
  • ケシミン(しみ・そばかすを防ぐ商品)
  • サカムケア(サカムケをケアする商品)
  • キズアワワ(泡で傷口洗浄する消毒剤)

シンプルでありながら、用途そのままではなく、少しだじゃれ風にもじることによって、一目で商品の効能がわかる上に、一度聞いたら忘れにくいネーミングになっています。

ネーミングの成功例としてもう一つ上げると、伊藤園の緑茶飲料「お~いお茶」があります。

自宅で茶葉を入れた急須にお湯を注げばいくらでも低コストでお茶が飲めるため、飲料としてお茶を買うという習慣がなかった当時、茶飲料を広めた立役者として知られます。

その普及に大きな役割を果たしたのが実はネーミングです。

最初からこの商品名だったわけではなく、発売当初は「缶入り煎茶」という商品名でした。まったくインパクトがない、あまりに普通すぎる名称です。そのせいか、商品はなかなか売れませんでした。

商品はお茶ですから、「茶」という名をつけるしかなく、考えあぐねた末、当時、テレビCMで使っていたキャッチコピーであり、出演していた俳優のセリフだった「お~い、お茶」をそのまま商品名に採用したのです。

この名称にしてから商品はまたたくまにヒット。缶入りだけでなくペットボトル飲料もヒットし、緑茶飲料が広まるきっかけになりました。

長く使うブランド名や会社名は理念をベースにする

お客さんに振り向いてもらってナンボの商品名はインパクト重視でよいとして、会社として長く付き合うことになるブランド名や会社名そのものに、インパクトのある名前をつけてしまうと後々後悔することになります。

インパクトのある名前というのは、注目を集めやすい半面で、飽きられやすいというリスクがあるからです。

飽きられた瞬間に、古臭い、ダサいものというイメージが定着してしまい、名称の魅力そのものが低下してしまいます。

それが商品名ならネーミングを変えるか、もしくは新商品を出せばいいわけですが、長い時間をかけてイメージや信頼を築いていくブランド名や会社名はそういうわけにはいきません。

加えて、インパクトのある名前は商品や会社の特徴にフォーカスをあてて一面を誇張した形になるので、深みがないというデメリットもあります。

ではどうするか。

ブランド名や社名などは、理念やビジションをベースにネーミングすることが成功の秘訣です。

たとえば、ソフトバンクは、「ソフトウエアの銀行になりたい」=「情報化社会のインフラの役割を担う存在になる」という思いが込められています。

あるいは、楽天は、織田信長が開いた楽市楽座のような自由市場を現代のネット上で実現したいとい願いが込められており、両者ともそのビジョン通りの会社に成長しています。

会社の理念やビジョンをベースとすることで、商標ができるまでのストーリーが語られやすくなり、理念と一緒に名称の認知が広がることがあります。

さらに、理念がベースになることで、従業員にとっても商標に誇りを持って働きやすいということがあるのです。

*理念、ビジョンを元にネーミングをつけるコツについては、改めて別の記事で解説しています。ぜひ参考にしてください。

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