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商標関連時事コラム 


直虎の商標を巡って浜松市と須坂市が対立

NHKの大河ドラマ「おんな城主直虎」は、直近の2月26日で放送9回を数え、物語がだんだんと盛り上がってきましたが、ドラマとは関係ない思わぬところでとんだ場外乱闘が起こっています。

大河ドラマは全国的に視聴率が高く人気があり、物語の舞台となった地域にも注目が集まるので、地元の物産を扱う事業者や観光業界にとってはピーアールのチャンスです。

物語の主人公井伊直虎が活躍した静岡県浜松市でも、さっそく、「直虎」を観光資源として使おうとしたところ、すでに直虎は別の地域の事業者によって商標登録済みだったことが判明。

せっかく「直虎」が注目されているのに、このままで商標が使えないと、商標登録の無効を訴え特許庁に異議申し立てしました。

しかし、異議を訴えられた側も黙っていません。

もう一人の直虎の存在

大河ドラマ「おんな城主直虎」は、各地の大名が覇を競いあった動乱の時代に、女性でありながら井伊家当主として戦国の世を駆け抜けた井伊直虎の生涯を描くものです。

放送が発表されたのは2016年10月。

すると、早くもある問題が浮き彫りになりました。

その問題とは、「直虎」は一人ではない、ということです。

もう一人の直虎は、長野県須坂市にかつて存在した須坂藩で幕末のころに活躍した堀直虎です。

堀直虎は全国的な知名度こそありませんが、25歳の若さで藩主に就くと大胆な藩政改革で功績を上げ、幕府の要職に抜擢されるなどの業績を残した人物として、地元では親しまれていました。

井伊直虎が活躍した浜松市を中心に、「直虎」を地域おこしに利用しようという機運が高まると、須坂市民から、「直虎といえば堀直虎でしょう」という声があがったわけです。

直虎で登録されている商標は4件

もっとも、これだけならたいした問題ではなく、浜松市の井伊直虎も須坂市の堀直虎も、これを機に知名度があがるなら、お互いにとっていいことです。

問題は、須坂市の事業者によって、すでに「直虎」が商標登録されていたことです。

直虎として商標登録されている商標は2017年3月1日現在で以下の4件です。

商標:直虎\なおとら
区分:33(日本酒など)
出願人:株式会社遠藤酒造場
出願日:2014/06/16
登録日:2014/11/14
状態:係属 / 存続-登録-継続

商標:直虎
区分:30(食品)
出願人:有限会社モーク
出願日:2015/08/28
登録日:2016/04/28
状態:係属 / 存続-登録-異議申立中

商標:直虎
区分:30(味噌など)
出願人:有限会社糀屋本藤醸造舗
出願日:2015/12/02
登録日:2016/04/28
状態:係属 / 存続-登録-異議申立中

商標:直虎\ゆかりの地\浜松
区分:16、30、35、41
出願人:浜松市(事務用品、食品、衣料品、イベントなど)
出願日:2016/04/13
登録日:2016/11/11
状態:係属 / 存続-登録-継続

遠藤酒造場と糀谷本藤醸造鋪は須坂市の事業者で、つまり、堀直虎からとった「直虎」を意味します。

浜松市の事業者モークと、浜松市が出願している商標は、井伊直虎からとった「直虎」です。

このうち、遠藤酒造場の商標は書き文字としての登録、浜松市の登録した「直虎\ゆかりの地\浜松」は図形商標なので、争う余地はありません。

懸案になっているのは、須坂市の糀屋本藤醸造舗と浜松市のモークが登録している商標で、いずれも文字列のみの商標です。

NHK大河ドラマの放送を機に、直虎を観光資源として使いたい浜松市ですが、すでに食品を指定区分として商標登録されてしまっているので、お土産品などとして「直虎」の商標を使うことができなくなってしまいます。

そこで、先に登録した商標の無効を訴え異議を申し立てたのです。

歴史上の著名人の名前は商標登録できない

浜松市が異議申し立の根拠としたのが、「歴史上の人物として特定される商標の登録は認められない」という特許庁の運用ルールです。

たとえば、「秀吉」と言えば誰もが豊臣秀吉のことを想起するはずです。

このような歴史上の著名人の名前は、国民一般の共有財産であり、商標登録して特定の人や会社に独占させるべきではないということになっています。

問題は、「直虎」が著名な歴史上の人物と言えるかどうかです。

浜松市としては、この点で、大河ドラマが放送されている現在、全国的な知名度を獲得した現在、直虎は著名商標として認識されており、一企業が独占すべきではない、という主張を展開しています。

確かに、地域由来の人物がせっかく有名になったのに、地元の事業者が商標として使えないのは残念な話です。

ところが、この主張に反応したのは、商標を持つ事業者ではなく、須坂市です。

直虎といえば井伊直虎だけではないと反論。

市内の事業者による商標登録の正当性を支持したのです。

特許庁は商標登録をいったん認めているので、直虎はそこまで著名ではないという判断を下したことになり、須坂市の主張に分があるようにも思えるのですが。

商標を巡って地元自治体の維持と思惑が入り乱れた争いに発展したこの問題、果たしてどちらに軍配が上がるのか、特許庁の判断に注目されます。

参考:
SankeiBiz 「お土産に使えないなんて」…『直虎』商標、誰のものか 浜松市が特許庁に異議
朝日新聞 どちらに軍配?「直虎」二人 浜松市vs.長野・須坂市
週刊ポスト 大河舞台・浜松市が「直虎」を使えない 商標めぐる事情
産経ニュース 「直虎」めぐり商標騒動 静岡・浜松VS長野・須坂「直虎といえば井伊直虎」「井伊だけとは納得いかぬ」

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2017年03月14日 作成
2017年04月22日 更新

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