熊出没を警告するチラシに商標侵害だと知らずに画像を使用

秋田県仙北市が作成したチラシに、札幌市の会社が商標登録している画像が無断使用されていることがわかりました。

問題のチラシは、市内で熊との遭遇による死亡事故が発生したのを受けて注意喚起を目的に作成されたものです。

市では他者が商標権を持つ画像と知らずに使ってしまったということですが、その経緯に信じられない事実がありました。

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商標権侵害に気づかず制作

問題のチラシは、同市と仙北署、角館消防署、遭難対策委員会、山菜採り事故防止協議会の連名で作成され、クマ出没による死亡事故が発生したことを伝える内容です。

口を開けたリアルな熊のイラストに太文字で「熊出没注意」という文句があしらわれた画像を中心に、死亡事故の事実、熊を発見したときの連絡先などが書かれています。

A4版サイズ、カラーで200枚が印刷され、5月28日から、通行人に手配りされたり、記者懇談会の席上で配布されたりして、その日のうちに100枚ほどが出回りました。

問題なのは熊の画像で、札幌市内の商品企画製造販売会社「クリエイティブコンパス」が商標登録しているものです。

翌29日に仙北署が違反に気づき、市に連絡。指摘を受けた同市が事実調査すると、確かに、他者に商標権のある画像と判明。慌てて、未配布のチラシを回収。その後、市内に全戸配布する計画だったが、問題の画像を外した上で改めて印刷することになったということです。

うっかりでは済まされない

さて、いったいなぜ、他者に商標権がある画像がチラシに使われたのでしょうか。

その経緯には、驚くような事実がありました。

チラシを作製した市総合防災課によると、「職員がインターネットで『熊出没』を検索し、目についた画像をうっかり使ってしまった」ということです。

インターネットで画像検索をかけると、全世界のネット上で使用されている画像がいくらでも集めることができます。

当然ながら、その多くは他社に著作権や商標権のある画像がほとんどです。著作権フリーの画像であっても、使用の用途が限定されていたり、メールアドレスなどを登録することと引き換えに使用を認めるなど、条件がついていることも少なくありません。

したがって、使用する前に、著作権や商標権の有無、使用の制限などを確認するのはもはや常識です。

今回の件では、商業利用ではなく、まして悪意があったわけではないとはいえ、場合によっては損害賠償を請求され、刑事罰が下ることもあります。

商標法では、他者に商標権があること知らずに使ってしまっても言い逃れできません。うっかりですまされないのです。

インターネット上にあふれる画像やイラストを安易に使用しないよう、注意しましょう。

参考:
朝日新聞デジタル 「熊出没注意」の画像、仙北市がチラシに無断使用
クリエイティブコンパス

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