イソジンのキャラがカバから犬にバトンタッチ

アメリカの大手製薬会社、ムンディファーマは7月6日、うがい薬のイソジンのキャラクターを、従来のカバのデザインから、犬をモチーフにした新しいキャラクターに変更すると発表しました。

カバのキャラクターについては、長年の提携関係にあった明治との間でお互いに商標違反を訴えていましたが、3月に和解が成立しました。

これを受けて、ムンディ側がキャラクターを変更することになったもの。

カバのキャラクターは明治オリジナルのうがい薬の商標として再スタートを切りました。

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イソジンを二人三脚で育てた明治の提携を解消したムンディ

イソジンのカバのキャラクターが犬になったら、おなじみのカバのキャラクターは消えてしまうのでしょうか。

いえいえそうではありません。

そもそも、カバのキャラクターは明治側が商標登録したもので、今後も明治のうがい薬のキャラクターとして使われることになります。

話を整理するために、そもそもイソジンがどのように誕生したか、というところから話しましょう。

イソジンはアメリカのムンディファーマが開発し、世界120カ国以上で販売されているもっともポピュラーな消毒薬の一つ。

日本では1961年、ムンディから技術提供および「イソジン」の商標のライセンスを受ける形で明治製菓(現Meiji Seika ファルマ)が製造販売していました。

以降、両者の二人三脚で日本の市場を開拓してきましたが、55年に渡った長年の提携関係は2016年3月にあっさり解消します。

理由は、ムンディ側の政策の転換でした。

日本市場向けの製品の製造をムンディが独自に行っていくことになり、販売についても新たなパートナーとして製薬大手の塩野義製薬を選んだのです。

これにより、2016年4月以降、イソジンの商標を持っていたムンディが日本市場でブランドを引き継ぎ、一方の明治側はほぼ同じ内容の商品を「明治うがい薬」という新たな商標で売り出し、両者は別々の道を歩むことになったのです。

長きに渡った蜜月関係が一転してライバル関係になったたわけですが、提携関係の解消とその後のそれぞれのビジネス展開そのものはスムースに移行しました。

ところが、問題になったのがカバのキャラクターだったのです。

カバのキャラクターは明治が堅持

カバのマスコットキャラクターは1985年のテレビCMから登場しました。

うがいから連想し、口の大きな動物であるカバをキャラクターに起用したのは明治です。

その後、キャラクターはパッケージにも印刷され、商品の普及とともに知名度も向上していきました。

やがてイソジンという名称とカバのキャラクターは切っても切り離せない関係になっていきます。

しかし、ムンディと明治の提携解消により、商標も別々の道を歩むことになりました。

イソジンの商標はムンディが持っているので、明治は新たな商標を作らなければならなくなりました。

ムンディ側でも、明治が作ったマスコットキャラクターを使えなくなったので、新たなキャラクターデザインを制作することになったのです。

ところが、ムンディ側が作った新たなキャラクターが物議をかもしました。

明治のものと同じくカバをモチーフにしたものだったからです。

モチーフが同じというだけではありません。

家族というキャラの設定も同じ、柔らかみのある絵のテイストや色合いもよく似ています。

ムンディ側としては、すでに市場に普及しているカバのマスコットのイメージを崩したくなかったのでしょう。

単純な商標のコピーではなく新たに作ったデザインには違いありません。

とはいえ、あからさまといえばあからさまです。

ムンディの突然の心変わりによって長年育てたイソジンの商標を手放さざるをえなかった明治としては黙っていられません。

ムンディのキャラクターは明治が作ったカバのキャラクターに似ていると指摘したのは当然でしょう。

これに対し、ムンディ側も一時は争う姿勢を見せたものの、どう考えても分が悪い話です。

結局はムンディ側が折れ、カバのキャラクターを取り下げることになったわけです。

新たなキャラは犬のイソくんファミリー

ムンディの新しいキャラクターは、犬のイソくんを中心にイソパパとイソママの3人家族という設定。

古代から人間とともに生活し、家族に近い存在であり、また、番犬が外敵を追い払うというところから、ばい菌やウイルスから家族を守る存在として受け入れてほしいという思いを込めて犬のキャラクターに決めたとのこと。

ムンディでは最初に作ったカバ風のキャラクターを2016年8月までは使いますが、以降はすべて新キャラクターに切り替える予定です。

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