人気のイケメンゴリラを市が商標登録へ

名古屋市が運営する東山動植物園に人気のゴリラがいます。

涼しげな眼もとや引き締まった凛々しい表情からイケメンゴリラと呼ばれる“シャバーニ”です。

そのゴリラの名前を名古屋市が商標登録することになりました。

参考:イケメンゴリラの「シャバーニ」、名古屋市が商標出願

すでに写真集やノベルティなど関連商品が多数発売されていますが、出願したのは名古屋市。

市がイケメンゴリラの人気にあやかって一儲けしようとしているのでしょうか。

そこには深い事情があるようです。

目次

防衛のための商標登録という考え方

シャバーニは10歳の雄ゴリラ。

オーストラリアのタロンガ動物園から東山動物園にやってきたのは2007年のことです。

ファンがSNS上に写真をアップすると、イケメンぶりが話題になってネット上に拡散され、あっというまに人気に火が付きました。

参考:オーストラリアからやってきたゴリラのシャバーニを公開しています

あまりの人気に写真集が発売されたのが2015年。

当然のように大ヒット。

すると、ノベルティグッズやお菓子、文具などあいついで関連商品が発売されました。

その数100種類以上。

人気は留まることを知らず、名古屋市職員募集のポスターに採用され、テレビCMへの出演を果たすなど、2016年5月現在、約10社の宣伝に起用されているということです。

人気が出てきたので、商標として登録しようというのは自然な発想といえます。

しかし、出願したのが名古屋市とはどういうことでしょうか。

名古屋市がシャバーニ人気にあやかって一儲けたくらんでいると、というわけではもちろんありません。

商標登録の真意は、悪意を持った第三者に人気を利用されないようにするためです。

名古屋市とも東山動物園とも関係ない誰かが勝手にシャバーニの関連商品を売り出したり、あるいは、先に商標登録してしまうことも考えられます。

こうした事態を避けるため、悪用される前に市が防衛のための商標登録を行うことになったわけです。

使わせないための商標登録という手段もある

自分たちが生み出した商標の権利を守るために商標法を活用しようとする考え方はすでに多くのケースで見られます。

たとえば、2016年2月、マヨネーズ製造大手のキユーピーが、キューピー人形のイラストを商標出願したことが話題になりました。

もちろん、キューピー人形そのものはとっくの昔に商標登録されています。

では何が話題になったのかというと、第13分類に改めて登録されたからです。

第13分類というのは、銃砲、銃砲弾、火薬、爆薬、戦車など、つまり兵器の分類です。

ネット上では、「キューピーがマヨネーズ砲でもつくるつもりか」と話題になりました。

もちろんそんなはずはなく、平和な家庭の食卓の象徴であるキューピー人形のモチーフがまかり間違っても兵器などに使われないようにする防衛のための商標登録だったのです。

そのほか、人気の腕時計G-SHOCKを製造販売しているカシオが、類似品の予防策としてA-SHOCKからZ-SHOCKまですべて商標登録していることは有名

商標登録は自分たちが独占的に使うために行われるものですが、使わせないために制度を活用するという考え方もあるのです。

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