カイリー対カイリーの争い、往年のスターに軍配

カイリー対カイリーの商標をめぐる争いに決着がつきました。

軍配が上がったのは、往年のスターの側でした。

報道などによると、テレビタレントで、モデル、女優としても活躍するカイリー・ジェンナーが自身の名である「カイリー」を米国内で商標登録しようとしたところ、待ったがかかりました。

異議を申し立てたのは、同じくカイリーの名を持つ、オーストラリア出身の歌手、カイリー・ミノーグです。

カイリー・ミノーグさんは商標登録こそしていませんでしたが、歌手活動を始めた1980年代から、カイリーの名を冠したプロモーション活動を行い、グッズの展開をしていました。

目次

ジェンナーさんが商標出願した経緯

顛末はこうです。

発端は、いまから3年前の2014年、カイリー・ジェンナーさんが、自身の名前を冠した美容・アパレル商品のブランド名「カイリー」を商標出願したことに始まります。

ちなみに、カイリー・ジェンナーさんは、アメリカ国内で放送されているリアリティ番組『キーピング・アップ・ウィズ・ザ・カーダシアンズ』で有名になった人です。

リアリティ番組は、台本や演出がなく、しかも本職の芸能人でもないセミプロの出演者が、現実に起こった問題に直面するさまをテレビカメラで追うというスタイルの番組。

日本ではあまりないジャンルの番組ですが、アメリカでは盛んにつくられ、人気もあります。

特に、『キーピング・アップ・ウィズ・ザ・カーダシアンズ』は、カーダシアンズ一家という、もともとは、タレントでもなければ有名人でもなかった普通の一家の日常に起こる出来事を追ったドキュメント番組でした。

でも、カイリー・ジェンナーさんは、カーダシアン家の人ではありません。

実は、カイリーさんの母親、クリス・ジェンナーさんが元カーダシアン一家の人で、離婚して現在の夫、ブルース・ジェンナーさんと再婚してジェンナー姓になったわけですが、すると、テレビ番組の「カーダシアンズ」のほうも、クリスさんの新家庭にまで撮影対象を広げていったわけです。

普通の一家がたどる人生の軌跡をそうやって延々と追いかけているわけですが、番組が人気になるに従い、もともとはただの素人だった出演者もだんだん人気が出て、タレント化していくわけです。

ジェンナーさんも、2歳上の姉ケンダル・ジェンナーさんとともに、タレント活動をするようになり、女優業やモデル業をこなしつつ、美容・アパレルブランドの展開など幅広く活動するようになっていったのです。

ところで、ジェンナーさんは、2017年2月現在で19歳。3年前に自身の名前を冠したブランドの商標出願をしたということは、そのとき若干16歳ということです。

当時は、普通の高校に通う女の子ですから、自分でビジネスをすべてコントロールしていていたわけではないでしょう。

台本も演出もないドキュメント番組というのもどうやら怪しい話ですが、ともあれ、そんな経緯でカイリーの商標が出願されたわけです。

カイリー・ミノーグさんの主張が認められた理由

一方の当事者、カイリー・ミノーグさんは、1980年代、全米を席巻した往年の人気歌手です。

1988年に自身の名をそのままタイトルに使った「Kylie」というファーストアルバムをリリースして以降、歌手活動を中心に、グッズの展開なども行っていました。

そこで、2016年、「先に“カイリー”の商標を使っていたのは私よ」と、意義を申し立てたわけです。

1年にわたって争われた裁判では、カイリー・ミノーグさんの異議を認め、カイリー・ジェンナーさんの出願した商標登録の無効を言い渡したのです。

ちなみに、カイリー・ミノーグさんは、「カイリー」の商標を登録していたわけではありません。

にもかかわず、訴えが認められたのは、アメリカでは商標権の先使用主義を採用しているからだと考えられます。

日本の商標法では、商標の使用の有無ではなく、先に出願した側に優先権がある「先出願主義」を採用しているのに対し、アメリカでは、先に使用している側に優先権があるという考え方をしているのです。

それにしても、カイリー・ミノーグさん。

久しぶりに聞きました、懐かしい名前です。

バブル華やかりしころ、青春を送った世代には、当時はやっていたディスコ(いまでいうところのクラブです)で、「The Loco-Motion」や「I Should Be So Lucky」など彼女のヒット曲をさんざん聞いたものです。

もうすっかり時の彼方に忘れていた名前でしたが、懐かしくなって、さっそくユーチューブで往年のヒット曲を聴きながら、しばし、青春の淡い思い出に浸った次第です。

参考:
カイリー・ジェナー、名前の商標権は認められず
ミノーグvs.ジェンナー、「カイリー」商標権対決に判決!

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