ボクササイズの商標を無断で使用した弘前市が支払った賠償金3万円に

今年2月、都内のジムが商標登録しているボクササイズの名称を無断で使用として健康体操などのイベントを主催していたとして、弘前市が商標の権利を持つジムの経営者に賠償金として3万円を支払っていたことが、報道機関の調べなどでわかりました。

自治体の活動の一環で行われている健康体操のイベントで、ボクササイズの商標が登録されていることを知らないまま無断で使用しているケースが多く、相次いで損害賠償を訴えられる事態になっています。

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商標登録されているとは知らず

青森県弘前市は2015年2月~16年12月まで行った健康づくり講座の名称として「ボクササイズ」の商標を使っていたということです。

ボクササイズの商標は、都内で営業する渋谷三迫ボクシングジムが、今からちょうど30年前の1987年に商標登録しました。

ボクシングのトレーニングをダイエットや健康づくりの目的で取り組めるように、エクササイズとして改良するアイデアを発案したのも、同ジムの会長・三迫正廣氏です。

同ジムによると現在全国に25000人の愛好者がおり、さらに、「ボクササイズ検定制度」を設けるなどして普及啓もうに努めているということです。

弘前市では、ボクササイズが商標登録されていることを知らず、事前に調べないまま使ってしまったようです。

今年に入って、同ジムから指摘を受けて事実を知り、賠償金の支払いに応じました。

同様のケースが全国の自治体に広がる

ボクササイズの商標を自治体の活動で知らずに使ってしまったのは、これが初めてではありません。
このコラムでも過去に扱いましたが、2016年には京都府宇治市、神奈川県では藤沢市など4自治体が、商標登録されていることを知らないまま、健康イベントなどでボクササイズの商標を使っていたことを指摘され、いずれも和解金や賠償金の支払いに応じています。

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健康体操の一環として、ボクシングのトレーニングに似た動きを取り入れることが自治体の間ではやっているようで、同様の権利侵害案件はまだ相当数あると見られています。

それらの自治体では、商標登録されていることも知らなかったのですから、当然ながら、本家である渋谷三迫ボクシングジムのメソッドに則っているわけでもないし、したがって、本物とは似ても似つかない体操を、「ボクササイズ」と打ち出してしまっていたことになります。

商標の権利者であり、ボクササイズの普及啓もうを行っている同ジムにすれば、「ボクササイズが間違って伝えられてしまった」という被害が発生していることになるわけです。

商標侵害については、「登録商標とは知らずに使ってしまった」というのは言い訳になりません。

また、自治体が行っている活動なので、若干の施設利用費のみを徴収しているケースや完全に無料で開催していることもありますが、有料無料、営利目的・非営利目的は関係ありません。

商標を使う前に、商標登録されていないかどうか、調べておくことが次善の策と言えるでしょう。

なお、いまから使おうとしている商標が、すでに商標登録されているかどうかを調べるためには、特許情報プラットフォーム(J-PlatPat)が便利です。

誰でも無料で使えて、簡単な操作で商標登録情報を閲覧することができます。

参考:
毎日新聞 ボクササイズ 無断使用で3万円…弘前市、商標登録知らず
渋谷三迫ボクシングジム

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