日米欧中韓の共同で他人の商標を勝手に出願する悪意の商標出願事例集を作成

日本、アメリカ、欧州、中国、韓国で、それぞれ商標を所轄する5官庁「TM5」はこのほど、他者の有名な商標を勝手に出願する、「悪意の商標出願事例集」を共同で作成、それぞれの国で公開し、注意を呼びかけました。

グローバル経済の時代になり、国際間で連携して不正な商標出願を防止する狙いがあるようです。

目次

第三者が勝手に商標出願した事例を紹介

悪意の商標出願とは、有名な商標を第三者が無断で商標出願することを言います。

特許庁など規制当局は、国内で有名な商標を調査していますので、無関係な第三者が勝手に商標出願しても審査を通り抜けることは、通常、ありません。

しかし、近年は、国際化の時代になり、他国で有名な商標を、自国で勝手に商標出願してしまうケースが増えています。

法律は基本的に国内しか適用されませんので、他国で知られている商標を国内で勝手に商標登録できないよう、国際的な取り決めがされています。

しかし、悪意の商標出願は、そうした規制をすり抜けてしまいます。

そこで、日本の特許庁が音頭を取り、「悪意の商標出願プロジェクト」を発足。

TM5に呼びかけ、各国内での事例を共有するなど情報交換を行うとともに、具体的な対応策づくりに取り組んできました。

今回は、その活動の一環として、各国の特許当局、ならびに、国際的に商標を守りたい人や企業に対して警戒を呼び掛けるために、TM5から提供された「悪意の商標出願」のケースを集めた事例集を作成したものです。

PUMAを模倣した「KUMA」など

事例集は、各国で実際に判明した「悪意の商標出願」の事例を各庁10件ずつ、合計50件網羅。

それぞれの事件の概要、判決・審決の要約の、各庁の制度・運用の比較表などで構成されています。

たとえば、世界的なスポーツ用品メーカー「PUMA」を模倣した「KUMA」、家電メーカーの「SONY」にそっくりの「SONYAN」という商標が出願された例を紹介しています。

この事例集は、今年5月20日~24日、スペインで開催された国際商標協会(略称INTA、190カ国の政府機関、教育機関、企業など6700以上が参加する団体)の年次総会においてはじめて公開されました。

現在は、TM5ウェブサイトから誰でもダウンロードできるようになっています。

参考:
経済産業省 日米欧中韓における「悪意の商標出願」の事例集を作成しました
TM5
悪意の商標出願事例集(英語)(PDF形式:1,836KB)

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