ネーミングをめぐる物語「かっぱえびせん」

カルビーの登録商標であるかっぱえびせんと言えば、昭和の時代から続く定番のお菓子としていまも親しまれています。

ところで、この商標、よく考えると良く分かりません。

えびせんは、エビ味のせんべいから来ているのだろうということは想像できます。

では、かっぱは?

今回はかっぱえびせんのネーミングについてのお話です。

目次

戦後にヒットした漫画のキャラクター

かっぱえびせんの“かっぱ”は、河童からきています。

頭の上に皿を乗せ、水辺に棲む想像上の動物として昔から日本中で語り継がれ、私たちにとってはなじみ深い存在と言えるでしょう。

とはいえ、人を水中に引きずりこんで溺れさせることもあるという妖怪でもあります。

そんな恐ろしいものをなぜお菓子の名前にしたのでしょう。

話は戦後にさかのぼります。

戦後の食糧難の時代、カルビー創業者の松尾孝氏が、手に入りにくかったコメの代用品としてアメリカから大量に輸入されていた小麦粉を使ったあられを考案したのが現在の商品の元祖です。

しかし、当初は、なかなか思うようには売れなかったようです。

その時松尾氏の目にとまったのが、清水崑氏のまんが「かっぱ天国」です。

1950年代に大ヒットしていたまんがでした。

松尾氏はまんがのヒットにあやかろうと、清水氏にキャラクターの制作を依頼。

こうして誕生したキャラクターをパッケージにデザインし、1955年に「かっぱあられ」として売り出したところ大ヒット。

商品はシリーズ化され、かっぱあられ味王将(しょう油味)、かっぱの一番槍(昆布味)などを次々と発表。

かっぱえびせんはシリーズ最後の商品で最大のヒット商品となりました。

その後、パッケージのデザインはえびに変わり、かっぱの絵は使われなくなって、名前だけが残ったのです。

参考:『かっぱえびせん』の名前の由来は何ですか?

かっぱのネーミングのもとになったかっぱ天国は、日本酒メーカーの黄桜酒造のキャラクターとしても採用されています。

なお、黄桜で現在使用しているかっぱのキャラクターは初代の清水氏の作品から、同じくかっぱまんがでおなじみの小島功氏の作品に代わっています。

かっぱえびせんは河童恵美仙だった

カルビーではかっぱえびせんを商標登録していますが、実は、平成になって関連する商標を次々に登録しています。

まず、1994(平成6)年に、「河童恵美仙(かつぱえびせん)」で商標登録しています。

河童はそのままですが、えびせんは漢字だと「恵美仙」だったのです。

「海老煎」だと思っていた方も多いのではないでしょうか。

続いて、2005(平成17)年には、「やめられない、とまらない/かっぱえびせん」で商標登録しています。

最近のCMではあまり使っていないフレーズのようですが、昭和時代におなじみになった宣伝文句です。

また、指定区分として、えび及び小麦粉を原材料としたスナック菓子としての商標登録とは別に、2010(平成22)年、被服、ガーター、靴下止め、ズボンつり、バンド、ベルト、履物、仮装用衣服、運動用特殊衣服、運動用特殊靴を指定区分とする商標登録を行っています。

かっぱえびせんでグッズ展開をする予定でもあるのでしょうか。

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