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商標関連時事コラム 


バーキンに似せたバック販売で新潟の著名女性社長が商標法違反で逮捕の報道

複数のマスコミが報道したところによると、新潟県警は7月13日までに、県内に本社を置くドレス販売会社の女性経営者と従業員を商標法違反の疑いで逮捕したと報じました。

フランスの高級ブランド「エルメス」の人気商品として知られるバーキンに似たハンドバックを販売した疑いということです。

逮捕された女性経営者は地方で成功した女性社長として度々メディアにも取り上げられていた有名人でした。

ところで、商標を専門に扱う者として、ここで疑問が一つあります。

商品の外形が似ているだけで商標法違反が成立するのでしょうか。

商品の外形が似ているだけで商法違反が成立するのか

まずは問題の経緯をかいつまんで説明します。

逮捕された女性社長が経営する会社では、2015年ごろから今年4月にかけて、問題のバックをオリジナル商品として1個1万円ほどで販売していました。

この商品が、フランスの高級服飾ブランド、エルメスの人気商品「バーキン」に似ているとして、エルメス側が警察に通報。

今回の逮捕となったものです。

マスコミ報道などによると、女性社長は新潟在住。学生時代にドレス販売会社を立ち上げて成功し、現在の年間売上は10億円ほどとされます。

地方で成功した女性社長として地元の新潟テレビはじめ、メディアでも取り上げられる有名人でした。

こうしたことから、一般の論調、あるいは、マスコミでは、有名女性社長の凋落のような切り口で語られていますが、商標についての専門情報サイトである当サイトでは別な見方をしています。

それは、商品の外形が似ているだけで商法違反が成立するのかどうか、ということです。

商標登録されていなければ商標法違反は成立しない

前提から言うと、名称、ロゴデザイン、商品のラベル、看板の絵柄など商標登録されている商標を第三者が無断で使った場合でなければ商標法違反は成立しません。

もちろん、「エルメス」および「バーキン」の名称、ロゴマークはエルメス社によって商標登録されています。

しかし、今回に限っていうと、逮捕された女性社長が経営する会社では問題の商品を「エルメス製」、あるいは「バーキン」とは表示しておらず、あくまでもオリジナルと主張しています。名称やロゴを模倣したわけではない、ということです。

エルメル側も、この点については指摘しておらず、問題視しているのは外形形状です。

つまり、問題のバックがバーキンのデザインに酷似しているというのです。

立体商標や位置商標として登録されている可能性

外形形状が似ているだけで商標法違反に問えるのでしょうか。

一つ考えられることとしては、バーキンの外形的な特徴が、立体商標、あるいは、位置商標として商標登録されているケースです。

商標登録は、名称、ロゴ、二次元の図柄だけでなく、立体的な形状、さらに、商品の特定の部位に特徴的な形状があり、それが商品を認識する標章として用いられている場合は、商標登録を認める制度があります。

有名なところでいうと、たとえば、立体商標として商標登録されているものに、清涼飲料水「コカ・コーラ」のボトル形状があります。

名称やロゴがついていなくても、形状だけでコカ・コーラ製品であることが認識できるため、商標登録が認められています。

すると、他社が違う名称、ロゴをつけて販売したとしても、ボトル形状を真似されただけで商標法違反に問えるわけです。

ただし、調べた限りでは、バーキンの外形上のデザインが、立体商標や位置商標として商標登録されている形跡はありませんでした。

商標法ではない別の規制法の可能性

どれだけ外形の形状が似ていても、立体商標や位置商標として商標登録されていない限り、商標法違反には当たりません。

次に考えられることとしては、単にマスコミが勘違いしているだけで、商標法違反ではなく別の法律が適用されたケースです。

商品の形状などを産業財産権として保護対象にできる可能性のある法律としては、意匠法、著作権法、不正競争防止法があります。

このうち、この件を報じたマスコミが取り違えたとすると、もっとも可能性のありそうなのが、不正競争防止法違反です。

不正競争防止法では、商品形態模倣(不正競争防止法2条1項3号)を刑罰の対象としており、また、商標法のように商法登録の必要もなく、形状を似せていることが立証できれば罪に問えます。

そこで、逮捕要件を確認するため新潟県警に問い合わせましたが、「個別の事案には答えられない」として回答を拒否されたため、事実は不明のままです。

とはいえ、1社だけならまだしも、複数のマスコミが「商標法違反」と報じているため、取り違えの可能性は低いかもしれません。

周知商法として対応か

仮に、商標法違反での逮捕が間違いないとするなら、商標登録していない商標を模倣したとして逮捕したことになります。これはいったいどういうことでしょう。

立体商標や位置商標として商標登録していない限り、外形形状が似ているだけでは商標法違反には問えないのが原則です。

ただし、一つだけ例外があります。

それは、周知商標に限っては、商標登録していなくても商標法違反に問えるということです。

国民の誰でも知っているような有名な商標というのは、商標登録していなくても知的財産権として保護の対象になっています。これを「周知商標」、あるいは「著名商標」と言います。

そこで調べてみると、「バーキン」は、特許庁によって「日本国周知・著名商標」として認識されています。

取材が認められなかったため事実が確認できませんでしたので、これは想像ですが、バーキンの外形的なデザインを商品に特有のものとして認め、かつ、誰でも知っている著名な商標という認識で、商標法違反に問えると新潟県警は考えたのかもしれません。

しかし、それにしては、自社製品に似ていると警察に通報したエルメスの意図はなんでしょうか。商標法違反を刑事告発することも可能ですが、先方に商法法違反の疑いがあることを警告し、当事者同士の話し合いで解決する手段もあったはずです。

残念ながら詳細は確認できませんでしたが、どうにも腑に落ちない事件です。

参考:
UXテレビ新潟21 シュガーの女社長 商標法違反の疑いで逮捕
産経 偽のエルメス「バーキン」を販売 容疑の女性社長ら逮捕
テレビ朝日 「年商10億円の女性社長」“偽エルメス販売”で逮捕

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2017年07月28日 作成

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